安倍首相が施政方針演説でふれた「江津市の人口動態」は正しいか(補論)

安倍首相が施政方針演説でふれた「江津市の人口動態」は正しい(補論)

 

 22日に公開しました「安倍首相が施政方針演説でふれた『江津市の人口動態』は正しいか(図表修正版)」の関係で、このあと、つぎのことをしたいと思います。

 

1.上記の文章とともに書いた「補論」を公開する

2.2022年までのデータが、一部を除いて公表されているので、その後の状況の報

 告と愚考を公開する

 

 「1」は、江津市の若者などの人口動態の状況をあらわす、2~3のデータを紹介するものですこれは「2」のその後の検証でもふれたいデータを含んでることもあり、ブログにのせることにしました。

 まあ「2」を開始するまえの小さなつなぎの意味もあると思ってのレポートです

 

※後記:

 上のように書きましたが、考えてみると、本論で書いた、安倍元首相の施政方針演説の統計の読み方・使い方のさまざまな問題をこえて、地方の人口状況のたいへんさについて、問題をひろげて考えることも重要だと思ったから、下記のような「補論」を書いていたんですね。(以上の後は、、2023年1月26日しるす)

 

 「2説明をもうすこしかみくだき先日の本論のように長くならないようにちかく、分割して公開することを考えています。

 

 では、まず「1」の「補論」をお届けします。

 内容は、「本論」と同じく、2020年2月24日に書いたままとします。

 ですので、この「補論」で紹介する、「2」の検証でもとりあげようかと思っているデータは、2019年までのデータの紹介ですが、この動向をひきつづいてみると、もう1度、大きな断層がみえてくるのです。これは、「2」の、現在の状況の検証と報告のほうで、ご紹介するつもりです。

 

 なお、この補論だけを読んでも、わかりにくいと思いますので、さきに「本論」のほうにお目通しいただけますと、ありがたくぞんじます。

 

 では、はじめましょう。             (2023.1.25しるす)

 

補論1 同学年人口は増えても、同年齢人口はふえない「若者人口」

 ここは、「12-17歳人口」で比較したものが手元にあるので、それを使います。

 「12-14歳人口」は、中学生人口に相当しますが、中学生は学年を1年上がっても、人口はほとんど変わりません。ですから「12-17歳人口」は、「15-17歳人口」とほぼ同じ動向を示します。

 

補表1 江津市の「12-17歳人口」

 

 

 2013年を除いて、すべての年で、この年齢層の「同学年人口」は「増加」しています。では、若者は増えているのでしょうか。

 


 国勢調査の翌年である「2011」「2016」年それと高校生に住民登録を推奨するようになったために人口が増加したとみられる2018」「2019」年以外はふえてません

 少子化なので、あたりまえと言えばあたりまえですが、外から若者をあつめること(社会増)では、人口は増えないことが、ここからは読み取れるように思います。

※「2016」「2018」「2019」年にこの年齢層の人口が増加しているとくべつな理由に

 ついての考察は、先日公開の「本論」のほうをごらんください。

 

補論2 江津市の「2019年の25歳人口」の推移をみる

 じっさいには江津市の若者人口はおおきく転出増となってきたようです。それがもっともあらわれているのが、「2019年の25歳人口」だと思いますので、この推移を表にしてみました。

 

補表2 江津市の1994年0歳人口は、どう推移して2019年にいたったか

 

 

 1994年10月1日に0歳だった268人は、19年には25歳で69人。ほぼ4分の1に。

 これは94歳人口より少ない(2019年:94歳82人、95歳59人、96歳66人)。

 1994年の0歳人口は268人。

 2008年の14歳人口:246人。

 社会増があって2011年の17歳人口:305人。

 それが翌年から急減して、2016年:79人。

 さらに減りつづけて19年:69人。

 0歳時比:25.75%、14歳時比:28%、17歳時比:22.6%。

 0歳時比で4分の1、17歳時比で同級生9人中2人しか地元に残ってないことになる。

 当り前のことだが、地元に雇用・仕事を増やすしかなさそうだ。

 (1994年の出生数は、1993・95・96年の236・237・240人より約30人多い。それなのに、このように減少した男37人女32人であるなお19年23歳人口は男66人女20人)

 

※この1994年生まれの方々の人口の動向は、2021年に急激な転機をむかえるかのような 

 人口統計になっています。このことについては、のちに書く、安倍演説その後の検証

 レポートで、紹介と考察をしていきたいと思います。

 

補論3 厳しい人口ビジョン

 ここまで述べてきたことは、国や県市の取り組みについて評価したものではない。県外出身者の起業支援が、地域の活力の維持・展開に役立ってきたことはあるのだろう。明るい話をすることも必要だ。

 一方で、江津市の人口ビジョンは、2040年の人口を1万7300人としている。2万3465人から6000人余り減り、74%弱の想定だ。

 でも、これも、2012年1.61の合計特殊出生率が、2040年までに2.27になると想定してのことらしい。厳しいものがある。合計特殊出生率が「2.0」前後の自治体さえ、全国で数えるほどしかない現状では。

 2019年1月1日現在の高齢化率(65歳以上人口)は38.4%だが、それが低下するという想定らしい。

 スポーツ留学などによる高校生学年の人口増は、のちの人口流出の数字となる可能性も高い。ただし、そういった若い人口の増加が、まるまる外部流出するわけではなく、地元の若者との結婚に結びついているケースも多少なりともあるのかもしれない(逆もあるかもしれないが)。

  • * *

 一定はポジティブなことはありうるにせよ、よく、一部だけを切り取った論評だというのが、政治で批判されるけれど、この首相演説にも、都合のいい一部を拡大させた言説があるんじゃないか、と思った。

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 せっかく、こんなことを記す機会になったのだから、今後も折があれば、江津市のことに、わたしなりに関心を向けてみたいとも思う。以上、当事者のものではないが、言う意味のあることもあろうと考えて、記してきた。

                        (2020.2.24未明記す)