新・ファクトチェック 「大阪では第4波の方が第3波より致死率が低い」という吉村洋文・大阪府知事のコメント(2021/5/17)は、「誤り」。 翌々日5月19日時点の大阪府のコロナ死者を、大阪府の発表日ベースではなく、死亡日ベースでとらえると、死者は1125人。コロナ死者の99%を占める30代~90代で、致死率が第3波より高かった。5月17日時点でも同様だったのではなかろうか。

新・ファクトチェック

「大阪では第4波の方が第3波より致死率が低い」という吉村洋文・大阪府知事のコメント(2021/5/17)は、「誤り」。

翌々日5月19日時点の大阪府のコロナ死者を、大阪府の発表日ベースではなく、死亡日ベースでとらえると、死者は1125人。コロナ死者の99%を占める30代~90代で、致死率が第3波より高かった。5月17日時点でも同様だったのではなかろうか。

 

はじめに

きょうは、上記のkojitakenさんの記事にもある、第4波の致死率についての吉村洋文・大阪府知事のコメントについて、とりあげたい。

 

【ファクトチェック】「大阪では第4波の方が第3波より致死率が低い」との吉村洋文のコメント(2021/5/17)は「誤り」

https://kojitaken.hatenablog.com/entry/2022/02/23/100625

 

終結果は、kojitakenさんの記事内容に尽きるけれども、つぎの2つの点が、この報告の趣旨になる。

1.統計の一見不思議な現象が、第3波とくらべた、第4波の致死率の動きに見られるので、その紹介。年齢別にデータを見ると、吉村知事のとらえた致死率とは異なる実態がみえてくる。

2.コロナ死数を、大阪府の報告日ベースでなく、実際の死亡日ベースでみると、この発言当時の状況が、第3波と比較して、むしろ深刻なものだったことが見えてくる。

 

以下、ご報告していきます。

 

終結果は、つぎのとおりである。

kojitakenさんのブログにあるとおり、最終的な致死率は、

第3波で2.6%

第4波で2.8%

となり、第4波の致死率は、第3波を上回った。

 

つぎに、前の報告で参照した「tadaben」さんのデータを利用して、大阪府でのコロナ死数を、大阪府の報告ベースではなく、実際の死亡日ベースにして、吉村さんの発言のもとになったデータをとらえなおす。

データはこちらのページから。

https://tadaben.mydns.jp/covid/osaka_covid.html

大阪府の死者データ:2020年8月から2023年3月31日まで

というのが、下部にあるので、そのページで、青い部分をクリックする。

*必要な方はご自由にご利用ください

とあるので、助かります。

これから取り上げる、死亡日別のデータは、ここにあげられているデータを、筆者がエクセルで編集しなおして、もとめたものです。

 

ところで、大阪府健康医療部による、5月12日時点のデータは、

国の「第35回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」の「資料3-6 藤井先生提出資料」の22~23ページでみることができるが、

第3波の致死率2.6%

第4波の致死率1.5%

となっていて、このデータにもとづいて、吉村知事は発言している。

全年齢層にわたるコロナ死者数を、全感染者数でわった致死率は第3波を下回る。

でも、30代から60代までの致死率は、すでに第3波を上回っている。

この時点で把握されている第4波の死者数は、669人。感染者総数は4万3156人。

ところが、2月12日までの実際のコロナ死者数は、のちに報告された人数も含めると、925人。感染者総数でわると、2.14%になる。

たしかに致死率は、この時点では第3波よりも低いが、コロナの死亡者数は、ピークが感染者数のピークから数週間遅行するので、このあと致死率が高まると予測できるから、前回の波の約8割に実際には迫っていたと知れば、こういうデータもあるので、その点は明るい、などと受け止める評価はできない。

むしろ、増えているコロナ死者数に対して、正面からとらえずに、別のデータを示して、問いをかわすために、言及されているものだとしても、それをその時点で「低い」と評価できるような実際ではない。そうとらえられるような状況だとわかる。

 

それで、つぎに、翌週の状況をみる。

吉村知事が使ったデータの翌週公表のものだが、発言の翌々日のデータである。

吉村氏が、第3波より第4波は致死率が低いと発言した翌々日の状況はどうだったか

第36回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(2021年5月26日)

資料3-5 藤井先生(大阪府健康医療部長 藤井睦子氏)提出資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00256.html

こちらから、該当の図表を示す。

 

さらに、表を拡大すると、第3波と第4波の年齢別致死率は、このようになっている。

  • 大阪府年齢別第3波致死率

    大阪府年齢別第4波致死率(5月19日時点)

この時点での大阪府の第4波での致死率(死亡率)は、1.8%と、されました。

陽性者総数は、20代までの陽性者数をふくめて、4万7089人です。

死亡例総数869人÷4万7089人=1.845%

ですね。

 

そして、ここで「tadaben」さんのデータをつかって、5月19日までの死亡日別の死者数を年齢別に整理して、この表の「死亡例総数」の欄にいれてみましょう。

3月1日から5月19日までの死亡日別コロナ死者の総数は、1125人です。

上の表では、5月19日までの公表日ベースの第4波死者数は869人ですから、その後に、この日までのコロナ死者の公表が、さらに256人、あったのです。

陽性者総数は、20代までの陽性者数をふくめて、4万7089人です。

死亡率は、2.39%になる。第3波の死亡率2.60%との差が、それほどなくなりました。

それでも、死亡率は、まだ第3波のほうが低い、とは言えます。

 

さて、ここからが、本題です。

年代別の死亡率も、計算しましょう。

いちばん右側は、第3波の大阪府でのコロナ死亡率です。

 

大阪府の第4波コロナ死亡率を「死亡日別」データでみる(5月19日時点での死亡まで)

   死亡者  陽性者総数  死亡率    第3波死亡率

30代:  6   6713  0.09%  0.02%

40代: 12   7268  0.17%  0.06%

50代: 45   6797  0.66%  0.28%

60代: 92   4052  2.27%  1.62%

70代:294   3860  7.62%  6.53%

80代:473   2633 17.96% 14.80%

90代:194    804 24.13% 22.47%

100代:  9     41 21.95% 27.78%

計:1125  32168  3.50%

(参考)

90代以上:203  845 24.02% 22.67%

 

あれっ!

これをみると、100代以外は、もうすでに、死亡率はすべての年齢層で、第4波のほうが高いのです。

死亡者1000人内外のところ100代の死者数は10人ほどなので1%くらい。

つまり、コロナ死者の99%を占める年齢層で、吉村知事のコメントの翌々日には、致死率は、第3波をすでに現実には上回っていたわけです。

100代を、90代に含めて示せば、すべての年代で、死亡率は第3波を上回った、とも言える。

吉村知事の発言のあった、2日前の5月17日にも、これに近い状況だったとも考えられます。

 

以上で、レポートはほぼ終りです。

ですが、疑問を抱く方もおられるでしょう。

全体の致死率は、死亡日基準でとらえても、第3波では2.60%なのに対して、5月19日時点の大阪府のコロナ第4波の致死率は2.39%だ、と言いました。

全体で見れば、致死率は、第3波の水準より、まだ低い。

それなのに、どうして、すべての年齢層で、5月19日時点の第4波致死率が、第3波を上回る、なんてことがあるのか?

ありえない、と思った方もいるのでは?

どうしてか、おわかりですか?

 

それは、死者を出していない、20代までの新規陽性者の割合が、第4波では高かったからです。

早い話が

     人数 高血圧 割合

若者  40人  0人 0%

高齢者男30人 15人 50%

高齢者女30人 15人 50%

なら、全体での高血圧率は30%。

 

     人数 高血圧 割合

若者  60人  0人 0%

高齢者男20人 12人 60%

高齢者女20人 12人 60%

なら、全体での高血圧率は24%です。

 

全体の高血圧率は下がっていても、3つの集団のうち、高血圧率が下がった集団はありません。

同じか、または高くなっている。

これと同じことが起こっていたのです。

 

ですから、大阪府で5月下旬にコロナ第4波での致死率が、いまだ第3波より低くみえた理由は2つ。

1.大阪府で死亡者の計上が遅れたこと。

2.新規陽性者の集合のなかで、若者の比率が高かったこと。

ということがわかります。

 

でも、吉村知事は、これら2つのことを知らなかったのでしょうか?

知ってて、それでも、第4波では第3波よりも致死率が低いという発言をしたのではないのでしょうか?

 

 

 

 

 

(要旨)安倍首相が施政方針演説でふれた 「江津市の人口動態」 は正しいか ◇統計をみて「8つの質問」で検証していく

(要旨)安倍首相が施政方針演説でふれた 江津市の人口動態」 は正しいか

◇統計をみて「8つの質問」で検証していく

 

1月23日にブログを書きました。

「安倍首相が施政方針演説でふれた 江津市の人口動態』は正しいか

◇統計をみて『8つの質問』で検証していく

 

が、それです。2020年1月下旬から考えはじめ、2月上旬にかけて考えが順次まとまり文章化をしたものを、同年2月24日未明にまとめなおした未公表の文章を、3年後のいま、そのまま掲載したものです。

 岸田首相の施政方針演説も先日あり、ちょうど3年たち、安倍元首相も帰らぬひととなりました。

 これは、安倍元首相の施政方針演説を題材に、統計をもちいた発言が、実態とかけはなれたものである、有名な事例として、紹介しておく価値があると考えたのです。

 いまが、これを公開する最後の機会のような気がしました。

 以下は、要旨です。くわしい数字や、計算結果は、ブログの「本論」のほうを、お読みください。

nanijiro-i.hatenablog.com

 

1.安倍晋三元首相の発言

 安倍元首相が、3年前の2020年1月20日の施政方針演説で、こんな発言をしました。

 

東京から鉄道で7時間。島根県江津市は「東京から一番遠いまち」とも呼ばれています。20年以上、転出超過が続き、人口の1割に当たる2800人が減少した町です。
 しかし若者の起業を積極的に促した結果、ついに一昨年転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました

 

 この演説で安倍元首相は江津市にⅠタンしてパクチー栽培をしていたHさんについてふれて地域を活性化する政府施策を紹介しました。そのHさんが前年末市外に転居していたことはニュスになりました覚えておられる方も少くないでしょう

 https://www.tokyo-np.co.jp/article/14666 (東京新聞2022.1.22)

 

 この施政方針演説をみて、わたしは別の違和感を感じました。

 

2.人口の減少幅は1割だったのか

「20年以上も転出超過がつづいた、東京からもっとも遠い町の人口が、その間に1割減というけれど、そのくらいの減少で、すんでいるんだろうか?」

 この疑問が出発点でした。しらべてみたら、こうでした。

 

東京から鉄道で7時間。島根県江津市は「東京から一番遠いまち」とも呼ばれています。20年以上、転出超過が続き、人口の1割に当たる2800人が減少した町です

 

 まず、最初に青字で引いた、演説の前半から、考えていきましょう。

 

〇問題.江津市の人口は、ほんとうに、20年以上で1割減だったんでしょうか?

◇質問1.江津市の人口は、1995年の国勢調査から、安倍元首相の演説までに、どのく

 らい減りましたか?

 

○考え方

20年以上、転出超過が続き、人口の1割に当たる2800人が減少した町です」と書いてあると、人口は2800人へったように思えませんか。それは本当でしょうか。

○調べてみると

 1994年、95年に、それぞれ「5人」「46人」の人口の「社会増」があった。

 1996年から2017年まで、人口の社会減がつづいたのは22年間。20年以上の転出超過。

 1995年の国勢調査人口は、3万0740人。

 2019年12月末の推計人口は、2万3442人となっていました。

 約7300人(7298人、23.74%)減少していることになりますね。

 

 いったいどうして、2800人減少、だったというんでしょう? 考えてみました。

 

3.2800人減というのは、何をさす数字か

◇質問2.「20年以上転出超過が続き人口の1割に当たる2800人が減少した町です」

 と、安倍元首相はいいました。この2800人というのは、どんな人数のことを言ってい 

 るんでしょうか?

 

○調べてみると

 人口の社会減がつづいたのは1996年からなので、同年以降の人口の各年の社会減の人数を合計したら、2791人でした。ぴったりですね。

 「20年以上、転出超過が続き、人口は、この社会減だけで、当時の人口の1割に当たる2800人が、減少した町です」

 というように聞き手の誤解を招かぬように言うべきだたんじゃないでしょうか。

 

県外からの起業のための移住がふえて人口が社会増になたというのは本当か?

 ここまでの内容は2020年1月26日日曜日にはまとめはじめていました翌朝には上に書いたことを統計にあたって気づくとともに、安倍元首相が演説であげた、人口減少の理由は、江津市の人口統計(島根県によってまとめられたもの)をみると、あてはまらないことに気づきます。

 

◇質問3.島根県の統計情報から「2018年の江津市の人口が社会増になった理由は、県

 外から転入してきた創業者が増加したから」という安倍元首相が語った理由が正しい

 かを考えてみてください。

 

○調べてみると

 2018年は、前年とくらべ「91人」ぶん、社会増減がプラスにむかった結果、前年の社会減-64人が、社会増27人になりました。

 島根県は、各市町村の人口増減を、その理由別にまとめて公表しています。それをみると、転職・転業による転入は20人増加、転出も15人増加で、これを理由とした、社会増への貢献は「5人」ぶんにすぎないことがわかりました。しかも、県外からのこの理由による人口動向は、逆に「8人」ぶん、社会増への貢献人数をへらしていたのです。転勤と就職を理由とした人口動向をみても逆に社会減の数が合計38人ふえています。

 

しかし、若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました。

 という安倍元首相の施政方針演説の内容は、統計からみれば、明らかに否定されるべきものだったというわけです。

 それを示すのが表2でした。

 これは、政治学者の菅原琢さんが、ブログ「国会議員白書」に掲載している表を借りました。

 このへんの説明内容を、菅原さんがブログにアップしたのは、1月28日でした。

 わたしが上記の内容と、つぎに書く内容を自分でまとめたのは、1月27日午前で菅原さんとは別個に、同じ推理に達していたわけです。

 菅原さんのこのブログの存在にわたしが気づいたのは、2月9日の午後になってからでした。それは、さすがの、よく伝わり、わかりやすく理解できる、むだのなく、ひろがりのある、深い論考で、勉強になります。

 わたしは、まとめた内容には表形式での入力はしていませんでしたが、同じような集計をしていました。

 自分で表をつくる場合も、ほぼ同じものになるし、図表がとてもわかりやすかったので、さきの「本論」では、この表を引用いたしました。

 

5.社会増にもっとも貢献したのは、「就学等」のための転入人口が、76人も増加した

 ことにあった

 この表2をみると、2018年に人口が社会増になった理由は、「就学・卒業」と「結婚・離婚等」にあることがわかります。

「就学・卒業」は、2017年は-52人、2018年は+42人で、94人ぶんも、社会増に貢献しました。

「結婚・離婚」は、同じく-25人が、+26人になり、51人ぶん、社会増の方向に動きました。

「就学・卒業」では、転入が、35人から111人人にふえています。

 その理由は何かが、つぎの問題になってきます。

 この理由として1月27日午前の時点では江津市広島県三次市を結ぶJR三江線2018年3月末に廃止されたことと関係があるのではないかと、はじめは予想しました。

 菅原さんは、1月28日のブログで、その正しいと思われる理由にいたりついておられます。わたしは、2月9日の午後には、三江線廃業ではなく、別に理由があることの「発見・推理」にいたりついて、それを文章化しています。そして、文章を書き終えたあと、菅原琢さんのブログを、ウェブで見つけます。

 

6.なぜ、2018年に「就学等」のための転入人口がふえたのか(1)

◇質問4および5 2018年に「就学等」のための転入人口が大幅にふえた理由は、なん

 でしょうか?

 

○調べて考えてみると

 石見智翠館高校へのスポーツ留学のために他県から転入してきた、同校の高校生で、寮生活をしている生徒たちが、これまでは転入届を出していなかったのが、転入届を出して、住民基本台帳人口として、行政にとらえられるようになったから、ではないか、と、わたしは考えました。

 三江線は、通学路線にはなっていたものの、災害で不通になることも少なくなく、スクールバス通学がむしろ主流になっていたことから、寄宿生・寮生の増加の原因の1つかもしれないけれど、主要な理由ではなさそうだと、思いました。

 菅原琢さんは、

(1)15-19歳人口での転入超過、とくに男性の転入超過が多いこと、

(2)同市への10代男性転入者の出身県

という2つのことから、石見智翠館高校のスポーツコースの高校生の、これまでは行なわれないことが多かった住民登録が、行なわれるようになったからと考えられると、述べています。

 わたしも、2月上旬になって、同じ推論に達しました。

 

7.なぜ、2018年に「就学等」のための転入人口がふえたのか(2)

 この先の拙考は、菅原先生のご論稿が5歳ごとの年齢でみた統計を、各年齢別にみたものです。

 まず、5年おきに、人口の増減が特異な年がくりかえされていることを、人口推計の統計表から、示しています。その理由はなんだろうと問うたのが「質問6」です。

 国勢調査が5年ごとに行なわれて、その結果が、翌年の人口統計に反映されます。なので、5で割って1余る「2016」「2011」「2006」年などには、他の年とは異なる、とくべつの人口の動き方をしているかのような、統計結果になるわけです。

「2016」年にも同じ傾向がみられます。ただ、この年には、16歳人口61人、17歳人口106人、18歳人口63人と、この3学年の人口が、おおきく増えているのです。

「2006」「2011」年にも、16~17歳人口が、他の年にない増加をしめしていますが、15~18歳人口でみて、2016年は234人増、2011年は66人増、2006年は95人増でした。

 2016年には、とくに増え方が大きかった。

 

◇質問7 2016年に、高校生世代、とくに17-18歳人口の増加がみられますが、理由は

 なんでしょうか。

 

○調べて考えてみると

 これは2016年7月の参議院選挙を前にした同年6月下旬に18歳選挙権がはじまたからでしそのためこの年齢の人口がとらえられるようになたのでした

 この経験が2018年に、高校生世代の人口が増加する理由と、つながっていないか。

 わたしは、そう考えました。

 では18歳選挙権のはじまりは2017年以降どう社会増減に影響したんでしうか?

 

◇質問7-2 18歳選挙権の開始は、2017年以降、どう社会増減に影響したでしょう?

 これは「本論」にない問いですが、本論では、このことも、考察し説明しています。

 

○統計表をみて考えますと

 2018年には、15ー16歳で、他の年より目立って多い「77人」ぶん、住民基本台帳人口がふえています。このことがあったから、人口は社会増になったのでした。

 そして、2019年にも、「104人」ぶん、15-16歳人口がふえます。安倍元首相の演説時点で、このことは「推計人口年報」では未公表でしたが、月報が既公表だったため、確定していました。

 2017年の秋に、江津市は、内閣府によって「社会増のモデル」とされたことが、新聞記事や内閣府の資料からわかるということが、菅原先生のブログにのっています。

 2017年の11月1日時点の人口月報からが、2018年の人口統計の範囲です。新聞記事はその直前のものでした。そして同じ年度に2016年の高校生世代の人口増が17-18歳を中心に、16歳にも及ぶものだったところを、さらに年齢をさげて、15ー16歳について、住民登録を推奨するようなことが行なわれたと考えられ、人口は社会増を達成するという「快挙」がなしとげられたんじゃないかと思いました。そのこと自体は、正しい人口把握のためには、必要なことの1つなのでしょうが。

 

◇質問8 けっきょく、2018年の江津市の社会増減は、プラスだったんでしょうか?

 

○統計をもとに考えました

 本論では、国勢調査の翌年に、人口の動きがより正確につかまえられて、大きく人口が動く年代が、これまでの年には、3つあったことを示しました。

 15-17歳人口(または15-18歳):増加

 18-23歳人口(または19-23歳):減少

 24-35歳人口:減少

となっていました。

 これは、人口の社会増減が、十分に住民基本台帳によってとらえられていないということなのでしょう。それが、高校生世代についてはとらえられるようになると、どうなるでしょうか。

 国勢調査の翌年のこれらの調整人数について

 15-17(18)歳人口:増加幅の減少

 18(19)-23歳人口:減少幅の増加

 となりそうだと思います。

 2021年に反映される国勢調査による住民基本台帳人口の修正をへてどうなるかはその時点であらためて考察が必要です。はたしてどういう実態が現れるでしょうか?

 本論は、こうした問いかけで終わっています。

 

あとがき

 結果は、予想どおりだったと思います。

 でも、意外なところもありました。

 コロナの影響もあると思います。

 2022年までの統計をみて、どうなったかの報告と拙い考察は、遠からず稿をあらためて書いてみたいと思っています。

 以上が要旨ですが、菅原琢先生のご論稿と、この拙論との関係などの経緯も、この「要旨」のなかにもりこみました。

 なお、今日は、菅原先生の論稿から、3年目にあたります。

  • 参照先:

 安倍首相演説:島根県江津市が若者の起業を積極的に促した結果、人口の社会増を実現させたというのは本当か(2020年1月27日)

 http://blog.sugawarataku.net/article/187087899.html

 安倍首相演説:島根県江津市の転入が増えたのは若者の起業促進策が成功したからでなく〇〇〇〇のため(2020年1月28日)

 http://blog.sugawarataku.net/article/187091325.html

  これで、筆を擱きます。(2023年1月28日しるす。31日未明、誤記修正)

 

付記:「本論」と「要旨」のもとになったのは、こちらの宮武嶺氏のブログ欄への私の

 コメントです。

 行きつ戻りつするような、投稿になっています。(コメント欄なので、制約上、読みにくいでしょうが)。

 安倍首相、史上最低の施政方針演説。起業支援の成功例として持ち上げたパクチー農家はすでに消え、「桜を見る会」問題もIR汚職はなかったことに。河井克行・案里夫婦は存在しなかったことに。

 https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/c6c4a5e720a156245818c84787464795 (2020年1月24日)

安倍首相が施政方針演説でふれた「江津市の人口動態」は正しいか(補論)

安倍首相が施政方針演説でふれた「江津市の人口動態」は正しい(補論)

 

 22日に公開しました「安倍首相が施政方針演説でふれた『江津市の人口動態』は正しいか(図表修正版)」の関係で、このあと、つぎのことをしたいと思います。

 

1.上記の文章とともに書いた「補論」を公開する

2.2022年までのデータが、一部を除いて公表されているので、その後の状況の報

 告と愚考を公開する

 

 「1」は、江津市の若者などの人口動態の状況をあらわす、2~3のデータを紹介するものですこれは「2」のその後の検証でもふれたいデータを含んでることもあり、ブログにのせることにしました。

 まあ「2」を開始するまえの小さなつなぎの意味もあると思ってのレポートです

 

※後記:

 上のように書きましたが、考えてみると、本論で書いた、安倍元首相の施政方針演説の統計の読み方・使い方のさまざまな問題をこえて、地方の人口状況のたいへんさについて、問題をひろげて考えることも重要だと思ったから、下記のような「補論」を書いていたんですね。(以上の後は、、2023年1月26日しるす)

 

 「2説明をもうすこしかみくだき先日の本論のように長くならないようにちかく、分割して公開することを考えています。

 

 では、まず「1」の「補論」をお届けします。

 内容は、「本論」と同じく、2020年2月24日に書いたままとします。

 ですので、この「補論」で紹介する、「2」の検証でもとりあげようかと思っているデータは、2019年までのデータの紹介ですが、この動向をひきつづいてみると、もう1度、大きな断層がみえてくるのです。これは、「2」の、現在の状況の検証と報告のほうで、ご紹介するつもりです。

 

 なお、この補論だけを読んでも、わかりにくいと思いますので、さきに「本論」のほうにお目通しいただけますと、ありがたくぞんじます。

 

 では、はじめましょう。             (2023.1.25しるす)

 

補論1 同学年人口は増えても、同年齢人口はふえない「若者人口」

 ここは、「12-17歳人口」で比較したものが手元にあるので、それを使います。

 「12-14歳人口」は、中学生人口に相当しますが、中学生は学年を1年上がっても、人口はほとんど変わりません。ですから「12-17歳人口」は、「15-17歳人口」とほぼ同じ動向を示します。

 

補表1 江津市の「12-17歳人口」

 

 

 2013年を除いて、すべての年で、この年齢層の「同学年人口」は「増加」しています。では、若者は増えているのでしょうか。

 


 国勢調査の翌年である「2011」「2016」年それと高校生に住民登録を推奨するようになったために人口が増加したとみられる2018」「2019」年以外はふえてません

 少子化なので、あたりまえと言えばあたりまえですが、外から若者をあつめること(社会増)では、人口は増えないことが、ここからは読み取れるように思います。

※「2016」「2018」「2019」年にこの年齢層の人口が増加しているとくべつな理由に

 ついての考察は、先日公開の「本論」のほうをごらんください。

 

補論2 江津市の「2019年の25歳人口」の推移をみる

 じっさいには江津市の若者人口はおおきく転出増となってきたようです。それがもっともあらわれているのが、「2019年の25歳人口」だと思いますので、この推移を表にしてみました。

 

補表2 江津市の1994年0歳人口は、どう推移して2019年にいたったか

 

 

 1994年10月1日に0歳だった268人は、19年には25歳で69人。ほぼ4分の1に。

 これは94歳人口より少ない(2019年:94歳82人、95歳59人、96歳66人)。

 1994年の0歳人口は268人。

 2008年の14歳人口:246人。

 社会増があって2011年の17歳人口:305人。

 それが翌年から急減して、2016年:79人。

 さらに減りつづけて19年:69人。

 0歳時比:25.75%、14歳時比:28%、17歳時比:22.6%。

 0歳時比で4分の1、17歳時比で同級生9人中2人しか地元に残ってないことになる。

 当り前のことだが、地元に雇用・仕事を増やすしかなさそうだ。

 (1994年の出生数は、1993・95・96年の236・237・240人より約30人多い。それなのに、このように減少した男37人女32人であるなお19年23歳人口は男66人女20人)

 

※この1994年生まれの方々の人口の動向は、2021年に急激な転機をむかえるかのような 

 人口統計になっています。このことについては、のちに書く、安倍演説その後の検証

 レポートで、紹介と考察をしていきたいと思います。

 

補論3 厳しい人口ビジョン

 ここまで述べてきたことは、国や県市の取り組みについて評価したものではない。県外出身者の起業支援が、地域の活力の維持・展開に役立ってきたことはあるのだろう。明るい話をすることも必要だ。

 一方で、江津市の人口ビジョンは、2040年の人口を1万7300人としている。2万3465人から6000人余り減り、74%弱の想定だ。

 でも、これも、2012年1.61の合計特殊出生率が、2040年までに2.27になると想定してのことらしい。厳しいものがある。合計特殊出生率が「2.0」前後の自治体さえ、全国で数えるほどしかない現状では。

 2019年1月1日現在の高齢化率(65歳以上人口)は38.4%だが、それが低下するという想定らしい。

 スポーツ留学などによる高校生学年の人口増は、のちの人口流出の数字となる可能性も高い。ただし、そういった若い人口の増加が、まるまる外部流出するわけではなく、地元の若者との結婚に結びついているケースも多少なりともあるのかもしれない(逆もあるかもしれないが)。

  • * *

 一定はポジティブなことはありうるにせよ、よく、一部だけを切り取った論評だというのが、政治で批判されるけれど、この首相演説にも、都合のいい一部を拡大させた言説があるんじゃないか、と思った。

  • * *

 せっかく、こんなことを記す機会になったのだから、今後も折があれば、江津市のことに、わたしなりに関心を向けてみたいとも思う。以上、当事者のものではないが、言う意味のあることもあろうと考えて、記してきた。

                        (2020.2.24未明記す)

安倍首相が施政方針演説でふれた「江津市の人口動態」は正しいか(図表修正版)

安倍首相が施政方針演説でふれた「江津市の人口動態」は正しいか

統計をみて「8つの質問」で検証していく

 

※デザイン修正版です。まえの投稿は、図表がとても読みにくかったので。

 

 2020年の施政方針演説で、安倍元首相が、下記のように、施政方針演説で語ったことについて、当時それを検証したものを公開します。

 当時に書いたまま公開しますが、いかに問題が多い発言であるかを説明しています。

 統計をもとに語ったものが、その根拠を問うと、元首相の語ったものとは、まったく真相が異なるという話です。統計をよく見れば、それがわかるのです。

 元首相は昨年亡くなりました。3年前の施政方針演説の話ですが、当時、多忙その他の理由で、まとめたものを公開にはいたらなかったものですが、ここにしるしておきたいと思いました。

 長文ですが、よろしかったら、お読みくださいませ。

 もしかすると、印刷して読んでいただいたほうが、いいかもしれません‥。

                          (2023.1.22記す)

 

 なお、今後、いまさらのように思われるかもしれませんが、ほぼすべての人が知らない、森友学園小学校の値引き問題の考察を、投稿できたらと思っています。(同上)

 

 ちかく、2022年までの統計をもとに、このレポートで予測した、2~3年後の江津市の人口の「社会増減」が、予測どおりの動向となったかどうかの検証レポートを書く予定です。お楽しみに。 (2023.1.26記す。気づいた誤字等、訂正しました)

 

 以下、本文です。

 

〇「8つの質問」で、首相演説を検証する

 島根県江津市にIターンしてパクチー栽培をしていたHさんについて、安倍首相は施政方針演説(1月20日)でふれて、地域を活性化する政府の施策を紹介しました。そのHさんが、昨年末、市外に転居していたことはニュースになりました。お読みになった方も少なくないでしょう。

https://www.chugokunp.co.jp/news/article/article.phpcomment_id=606203&comment_sub_id=0&category_id=24(中国新聞)

 このときの首相演説で、江津市の人口動態についての言及がありました。https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0120shiseihoushin.html(施政方針演説)

 その内容を検証していきたいと思います。おもに用いるのは、つぎの統計資料です。

https://pref.shimane-toukei.jp/index.php?view=4334(しまね統計情報データベース「推計人口」)

 統計を示しながら、「8つの質問」に答えていけば、検証できます。

 それでは、まず、安倍首相の発言はどうだったかを見ましょう。

 

〇安倍首相の発言の該当部分

 上記のURLの演説中「3 地方創生 (地方創生)」から引用します。

〈東京から鉄道で7時間。島根県江津市は「東京から一番遠いまち」とも呼ばれています。20年以上、転出超過が続き、人口の1割に当たる2800人が減少した町です。
 しかし若者の起業を積極的に促した結果、ついに一昨年転入が転出を上回り人口の社会増が実現しました

 

〇いつから転入が転出を上回ったのかを調べてみる

 まず、このことを調べてみます。

「しまね統計情報データベース」で、人口動態をみると、1994年10月1日までの1年間、1995年10月1日までの1年間に、転入が転出を上回り、それぞれ「5人」「46人」の転入超過だったとするデータがありました。以降は転出が転入を上回りつづけました(後出表1)。

 この時点からの人口減少のことをさして言っているのでしょうか。

 そこで、最初の質問です。

 

質問1

 201912月末の江津市の人口は、23442人です

 199510月1日の人口は何人ぐらい?

 1.26200人くらい

 2.26200人をすこし上回る

 3.26200人をかなり上回る

 4.26200人をすこし下回る

 2万6200人というのは、2万3400人+2800人というのは、おわかりですね。

 上のどれが正しいでしょうか? 答えを決めていただけましたか?

 

〇正解

 1995年10月1日の国勢調査人口は、3万0740人。約7300人(7298人)減少しています。

 実態としては、正解は「3」です。「人口の4分の1近く(23.74%)に当たる約7300人が減少しました」。

 でも、「3」と答えた人は、多くなかったのではないでしょうか。

 

〇推論の正解

「20年以上、転出超過が続き、人口の1割に当たる2800人が減少した町」とあるので、「1」は、与えられた情報からの推論として、正しいと思います。

「2」も、「20年以上」とは書いてあるが、「20年前」と比べているのかもしれないなどと思ったら、そういうこともありうるでしょう。

 与えられた情報から推論すると、むしろ、正解の「3」は考えにくい気がしますが、それが実際でした。

 

質問2

 では、「20年以上、転出超過が続き、人口の1割に当たる2800人が減少した町です。」とは何を意味しているのでしょうか。2800人の減少というのはなにか。推理してみましょう

 

 1.比較期間が、より短い。2009年の民主党政権の成立からの減少幅を示した

 2.江津市200410桜江町を編入したので、旧桜江町域の人口を除いて比較

 3.199510月1日からの「転出が転入を上回った」人数を集計した

 4.それ以外の理由で2800人が減少した

 

〇正解

 最もありそうなのは「3」だと思います。違うのは「2」。

 最初に私が考えたのが「1」でした。

 いつの人口が今より2800人だけ人口が多い2万6200人だったかを調べてみると、2009年4月1日の人口が2万6200人だったので、近い。鳩山内閣の成立が同年9月。

 2019年の統計が同年10月1日の住民基本台帳をもとにしているので、施政方針演説の4か月前の時点。そう考えると、ぴったりと言ってもいいくらいかも。

 安倍さんのいつもの「悪夢の民主党政権」関連で、この時点とくらべたのかな、と、はじめは思いました。

 でも、「3」の可能性のほうが、かなり高いと、わたしは思います。

 

〇根拠

 1993年~2018年までの「転入-転出」人数を「しまね統計情報DB」から抽出して合計しました。

 1995年10月1日~2017年10月1日までの「転入-転出」人数を合計すると「2791人」でした。ぴったりですね。

「2800人」減少したというのは、自然増減は入れない「転入」「転出」だけを原因にした、人口の減少数だったのですね。

 

表1 江津市「転入-転出」人口の推移

(「しまね統計情報DB」より。2018年「第18表」、2004年以前は各年の「市町村・男女別人口動態」から)

 

〇どういう表現が、よりよいか

 質問1で、どうお考えでしたか。

「1」「2」と答えた人は、この文を素直に理解して、「2800人」が、20年ほどの期間での江津市の人口減少数だったと理解したのだと思います。なんとなく、だまされてしまいますよね。

「20年以上、転出超過が続き、人口の1割に当たる2800人が減少した町です」という文は、「20年以上、転出超過が続き、そのことによる町の人口の減少は、その1割に当たる2800人にも上りました」のように、わかりやすく書いてほしいところです。

 あるいは、演説での表現を強いものにしたいから、そう表現したのなら、首相官邸のHPの演説文に注をつけてほしいもの。

 

〇コメント

 地方の人口問題は、自然減を抜きにできないことは、至極当然で、スルーはできません。もし、ここで、「1割減」でなく「2割以上減」と表現されていたら、より問題は深刻に見えてしまうのを、避けたのでしょうか?

 

 ここまで「20年以上、転出超過が続き、人口の1割に当たる2800人が減少した町です」を考えました。

 つぎに「若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました」を見ていきましょう。

 

2018年の「転入-転出」人口は、2017年から、どう変化したか

 2018年、江津市の「転入-転出」人口は、1から「28人」とわかります。17年は、これが「-61人」でした。ということは、「89人」ぶん、転出超過から転入超過に動いたことになります。

「しまね統計情報DB」には、転入と転出の理由を調査した統計が掲載されています。それを見ながら、この首相の言葉を確認していきましょう。

 なお、「しまね統計情報DB」「推計人口」にある諸表間で数字が若干異なっている場合があります。

 つぎの2では、「転入-転出」人口は、27人(2018年)、-64人(2017年)で、「91人」ぶん、転入超過に動いたことになっています。これからは、この数字を使って見ていきましょう。

 

質問3

 江津市で、2018年と17年に「転職・転業」の目的で転入した人、同市から転出した人の統計を見て次の問いに答えてください

 

 1.「転職・転業」のために江津市に転入した人は、2017年、2018年、各何人で、何人増えましたか?

 2.「転職・転業」のための江津市への転入と転出を合わせると、17年から18年にかけて、この理由での「転入-転出」の人数は、何人ぶんが、18年の「91人ぶん」の転入超過への変化に役立っていますか?

 3.「転職・転業」のための江津市の県外からの転入・県外への転出については、17、18年はそれぞれ何人でしたか。その結果、何人ぶんが、18年の「91人ぶん」の転入超過への変化に役立っていますか?

 4.2017年から18年に転入超過になった理由として、ふさわしい理由を、つぎのなかから2つあげてください。

  イ.転職・転業  ロ.就学・卒業  ハ..結婚・離婚等  ニ.退職・家庭の事情

 ※政治学者・菅原琢氏の「国会議員白書」ブログから、表をお借りします。

 

表2 江津市転出入者(日本人)の移動理由

 

出典:菅原琢「国会議員白書」ブログより。原資料は「しまね統計情報DB」、2017、18年「第12表」。

注)「県外転入」には市町村長が職権により住民票に「記載」した者の数、「県外転出」には住民票から「消除」

 した者の数が含まれていない。

 

 

〇正解

1.「転職・転業」のために江津市に転入した人は「2017年:38人」「2018年:58人」

 で、20人増。たしかに、この年は、転入者がふえていますね。

2.でも、転出者も「2017年:30人」から「2018年:45人」に15人増。「1」の転入

 者と差引で、2018年の「転入超過」への「91人」ぶんの変化に「5人」ぶん貢献。

 ですが、これは「転入超過」になったおもな原因と言えるものなのでしょうか。

3.県外からの転入は「2017年:32人」から「2018年:34人」に「2人」ぶん増えて

 いますが、県外への転出が「2017年:22人」から「2018年:32人」に「10人」ぶん

 増えています。

  そのため、「転職・転業」を理由とした県外との人口移動が、18年の「転入超過」

 方向に貢献した人数は「-8人」となります。むしろ「マイナス」に動いた。

  このことから、県外との「転職・転業」を理由とした人口移動のために、江津市

 「転入超過」になったとは言えないことが、わかります。

4.2017年から18年に転入超過になった理由として、ふさわしいのは「ロ.就学・卒業」

 「ハ.結婚・離婚等」であることが、表からわかります。

  それぞれ「+94人」「+51人」の変化要因になっています。

 

※付記

 また「転勤」「就職」も、それぞれ2018年は17年比「-8人」「-16人」で、江津市への就業のための人口移動全般をみても、「転勤」「就職」「転職・転業」を合わせて「-6人」から「-25人」とより転出超過になっている。転入も「269人」が「261人」へと、わずかに減っている。

 

 上で見てきたことから、「ロ.就学・卒業」「ハ.結婚・離婚等」が、2018年に江津市の人口が転入超過になった主な原因であることがわかりました。

 安倍首相のいう「転職・転業」が転入超過の主な理由ではなく、県外との「転職・転業」が原因の人口移動は、転入超過数がへりました。

「若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました」という因果関係はなく、「フェイク」といってよさそうです。

 

 それでは、つづいて、2018年に江津市の人口が転入超過になった主な原因である「ロ.就学・卒業」「ハ.結婚・離婚等」のうち、数の大きい「就学・卒業」が、なぜ増加したのかを考えてみます。

 このことについて、政治学者・菅原琢氏は、1月28日にわたしの推理と同じ結論に達しておられます。

 私は、菅原氏とは別に、同じ推理に、のちに達することになりました、この経緯については、この報告の末尾にふれたいと思います。

 

質問4

 江津市で、2018年に「就学・卒業」の目的での転入人口が「38人」から「111人」に大幅に増加したのはなぜか。もっとも考えられるのは、つぎのうち、どれですか

 

 1.市内に新しい学校ができたり、定員が増加したりしたため

 2.市内の寮生や寄宿生がふえたため

 3.その他

 

〇正解/解答

 どうやら「1」ではないようです。「2」か「3」だと思います。

 どちらなのか。「質問7」まで、答えを求めて、考えを進めていきたいと思います。

 

質問5

 もし「市内の寮生や寄宿生が増えた」としたら、考えられる理由はなんですか

 

 1.石見智翠館高校へのスポーツ留学による寮生等が、転入人口となったため

 2.三江線JR西日本)がこの年の春に廃業し、沿線からの通学生が近くに寄宿した

  り寮に入ったため

 3.その他

 

〇正解/解答

 わたしは、はじめ「2」が有力かと思いました。しかし、島根県に「足を踏み入れた」ことは、わたしにはないので、地域の事情はよくわかりません。

 パソコンで検索すると、三江線は通学路線になっていたものの、災害で不通になることも少なからずあって、スクールバス通学がむしろ主流になるなかで、乗客を減らし続けて、廃業となったようです。

 三江線の廃業によっての「寮生」「寄宿生」増加は、多少あるかもしれませんが、主な理由ではなさそうだと、いくつか調べてみて思いました。

 そこで、「1」「3」の可能性を、このあとに考えていきたいと思います。

 

〇「就学・卒業」のために人口が増えるなら、高校生がもっとも考えられる

 小中学校は地元で通うでしょうから、もっとも「就学・卒業」による人口増加に関係しそうなのは、高校生でしょう。

 江津市にある高校は、江津高校、江津工業高校、石見智翠館高校、キリスト教愛真学園。ほかに、島根職業能力開発短期大学校があります。

 石見智翠館高校には、スポーツコースがあり、野球や、ラグビー(男女)などで、全国でも活躍しています。たとえば、野球部は寮生活を基盤にしているようです。

 2019年「夏の甲子園」に出場した野球部について、ある記事(朝日新聞島根版、同年8月6日付と思われる)によれば「部員数121人のうち、島根出身者は約10人」。約110人が県外からの寄宿生ということになる。スポーツコースは、スポーツ推薦50名、一般でスポーツコース30名といった、毎年の定員があるようだ。この約80名を中心に、寮生の多くが、これまで住民票を移していなかったところを、1学年、またはそれ以上の範囲で移すようにすれば、「就学・卒業」による転入人口は、それだけで数十人規模で増加することになる。そういうことは起こらなかっただろうか。

 

菅原琢氏が示した2つのこと (1)2018年に15-19日本人男性の社会増激増

 政治学者・菅原琢氏は、2つの図表を示して、論をすすめていっています。

 http://blog.sugawarataku.net/article/187091325.html

 まず「図 島根県江津市の年齢(5歳階級)別転入超過数(日本人男性)」を、菅原氏は示しています。

〈これを見ると、2018年に15-19歳の社会増が激増していることがわかります。それまで大きくマイナスに振れていたものが+40と極端な値を取っています。なお女性では2018年に同様の顕著な変動は見られません〉

 同氏のブログを見ると、グラフで一目瞭然ですが、それをさらにしぼりこんで、高校生年代に焦点を合わせて、「15-17歳人口」がどう増えたかを見ていきましょう。

 

〇高校生世代の「転入超過」が2018年に大きくなったことを、年齢別人口に見る

表3 高校生の人口は、2005-19年にどう推移してきたか

  (「15-17歳人口」と、前年の「14-16歳人口」とを比較して、その増減を見る)


 2017年には「637人」であった「14-16歳人口」は、2018年に「713人」(15-17歳)

になりました。「+76人」です。

 この表から明らかなように、2018年の「転入超過」に、この年の「15-17歳人口」の増加が寄与していると思われます。

 それ以外の「2006」「2011」「2016」年にも、同様かそれ以上に大きく増加していますが、これについては、質問6で、あらためてその理由を考えます。

 つぎに、それを男女別にみてみます。ここでは、問題の「2018年」の近辺の5年間だけを見ます。

 

表4 高校生の人口は、2015-19年に男女別にどう推移してきたか

  (「15-17歳人口」と、前年の「14-16歳人口」とを比較して、その増減を見る)

※表3・表4の原資料:「しまね統計情報DB」より、各年の「市町村・年齢(各歳)・男女別人口」から

 

 表4から、2018年に「転入超過」になった大きな理由は、「15-17歳」人口が増えたからであるとわかる。それも、女性の転入人口も増えていますが、それ以上に、とくに男性の転入人口が増えたからではないかと、考えていいでしょう。

 そして、男子高校生が大きく増えているのだから、野球部などのスポーツ留学人口が、なにか関係があるのではないか。こうした想定に、さらにひとつの傍証が与えられたことになります。

 

菅原琢氏が示した2つのこと (2)2018年の江津市10代男性転入者の移動前住所

 菅原氏は、また「表2 江津市10代男性転入者の移動前住所」を示しています。

 

表5 江津市10歳代男性転入者の移動前住所

出典:菅原琢「国会議員白書」ブログより。

 

 

 2018年に、大阪・兵庫からの男性の転入者が増えていることが、人口の社会増の原因だったのですね。この2県からだけで、34人もふえています。

 これについては、翌2019年夏の甲子園に出場した、石見智翠館高校のベンチ入り部員の出身県の分布との類似が見られそうです(新聞記事より)。

 ベンチ入り18人は「大阪府12名」「広島県2名」「兵庫県2名」「神奈川県1名」「島根県1名」だった。

 なおこの総数86名規模感としてスポーツコース80名に近いことにも気づく

 こうしたことから、石見智翠館のスポーツコースの高校生が、何らかの理由で、これまで住民登録をしてこなかったのが、するようになったから、「就学・卒業」による転入人口増となったと考えられそうです。

 では、それはなぜなのか。統計から見えることはないかと考えました。

 ひきつづき、15-17歳人口の動向をみていくことにしましょう。

 

江津市の人口動態統計を読むときに注意したいこと

 ──5年毎にみられる「転入増」と「転出増」

 考えを進めていきますが、初めに、江津市の人口動態統計を読むときに考慮しておきたいことが、ひとつあると思ったので、そのことを述べます。

 

質問6

 表3を見ると、20061116年と、5年毎に「15-17歳人口」の増え方が多くなっていますその理由として、どんなことが考えられるでしょうか

(表3のうち、増減の表を再掲します)。

 1.5年ごとに高校野球の記念大会があるから

 2.5年ごとに国勢調査があるから

 3.その他

 

表3 高校生の人口は、2005-19年にどう推移してきたか

  (「15-17歳人口」と、前年の「14-16歳人口」とを比較して、その増減を見る)

 

〇正解/解答

 これは、これらの年が、国勢調査の翌年だからだとしか考えられないと、思います。

 国勢調査によって、これらの年に、江津市への高校生の転入が把握されたため、この年齢の人口が例年になく増加したという統計になったのでしょう。

 

国勢調査で「転出増」になる年齢層もある

 いま「15-17歳人口」が、国勢調査の翌年に、他の年よりも目立って多く増加することを見ました。

 そのほかに、国勢調査の翌年に、他の年よりも大きな、社会増減を見せる年齢層が、2つあります。

 「15-17歳人口」は、高校生世代ということで、3歳の刻みで見ましたが、この2つは、それぞれ6歳と12歳の刻みでみることにします。

 2016年の「18歳」だけ特殊事情がありますが、それは後述します。

 

表6 江津市の「18-23歳人口」と「24-35歳人口」の増減を見る

※表5の原資料:「しまね統計情報DB」より、各年の「市町村・年齢(各歳)・男女別人口」から

 

 上の表は、各年の「18-23歳人口」と「24-35歳人口」を示したものです。

 下の表は、それらを、それぞれ前年の「17-22歳人口」と「23-34歳人口」とくらべて増減を示したものです。

 (なお、ここでは、前年の「17-22歳人口」と「23-34歳人口」は、記しません)。

 これらから、国勢調査の翌年には、つぎのような特殊事情が生じてると思われます。

 

 1.高校生世代(15-17歳)の転入が把握され、他の年よりも転入増幅がふえる(表3)

 2.高等教育卒業者の市外への転出が、18-23歳人口で把握され、他の年より転出増

  幅がふえる(表5)

 3.市外に転出した若者のなかから、市内に戻る者があり、24-35歳人口でのそれが

  把握されるため、他の年よりも転入増幅がふえる(表5)

 

 ここで注目したいのが、18-23歳人口が、同学年比較で2006年555人減、11年503人減だったものが、16年は299人減にとどまっていることです。

 ただし、これを「19-23歳人口」でみると、つぎのようになります。

 たしかに減少数の減り幅が小さくなりましたが、その理由の一部は、2016年に18歳の転入人口が増加したことにあるようです。

 

表6-補足() 江津市の「19-23歳人口」の増減(2006、11、16年)

 

 つぎに、これらの3つの年齢層を合わせた、2006、11、16年の「転入-転出人口」の増減をみてみます。

 

表6-補足() 江津市の「15-35歳人口」の増減


 2016年、2018年、2019年の、この年齢層の人口の社会増が、ありそうに見えます。

 そのうち、2016年のこの年齢層の人口動態を、よりとらえやすくするために、この年齢区分を、補足(1)のように「15-18歳」「19-23歳」に変えてみます。

 

表6-補足() 江津市の「15-18歳人口」「19-23歳人口」の増減(2006、11、16年)


 これをみると、2016年の「15-35歳」転入出人口増加の最大の原因は、15-18歳人口の増加幅が大きいことにあることが、わかりますね。

 ではつづいてこの「15-18歳」転入出人口の動向を各年齢別にみてみましょう。

 

表7 江津市の「15-18歳」人口の増減を、各年齢別にみる

※表7の原資料:「しまね統計情報DB」「市町村・年齢(各歳)・男女別人口」。14歳人口は省略した

 

〇なぜ、2016年に、17歳・18歳人口(転入者)がふえたのか

 これを見るとわかるように、2016年には、16歳人口の増加幅も大きいですが、17歳、18歳人口の増加が目立ちます、なぜなのでしょうか。

 

質問7

 2016年に、17歳・18歳人口(転入者)が増加した理由は何かを、推理してください

 

 1.2012-15年に、転入の住民登録をしなかった人が、これまでになく多かったから

 2.石見智翠館へのスポーツ留学者が、この年には特に多かったから

 3.アベノミクスの成果で、高校生世代の移住者がふえたから

 4.18歳選挙権が、2016年からはじまったから

 

〇正解/解答

 最大の要因は「4」だと、私は思います。

18歳選挙権を実現する改正公職選挙法は、2015年6月19日に公布され、16年6月19日に施行され、同年6月22日から適用されることとなった」。このことと、この年齢層の2016年の人口増とは、たしかに関係がありそうですね。参議院選挙は7月10日でした。

 

2018年に「就学・卒業」によって人口(転入者)がふえたのは、なぜか

 2017年には、転入・転出人口の動向は、例年と変わりのないものだったことが、表からわかります。

 その翌年になると、大きく変わりだします。

 あえて、そのきっかけになったかもしれないとわたしが想像する新聞記事を紹介します。これは、菅原琢氏の「国会議員白書」でも取り上げられているのをあらためて読んでみて、そう思うようになりました。

 

江津市:社会増モデルに 創業・移住促進、内閣府が評価 11日講演/島根-毎日新聞

 https://mainichi.jp/articles/20170906/ddl/k32/010/416000c

 

 これが、2017年9月6日の記事で、つぎの参考資料と関連がありそうです(菅原氏の論考で言及されていたもの)。

 

*資料 移住・定住施策の好事例集(第1弾) 2017年12月 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/wakuwaku_kaigi/h30-02-14-sankou.pdf

 

 これらでは、2017年に2012年比で江津市の人口が社会増となり、社会増のモデルたるべき好事例となった、とされています。

 この時期に社会増のモデルとなったからには、それを実現したいと考えられた。そう、私は想像します。

 2016年18歳選挙権のスタートを契機に17-18歳人口が転入者として、同じ国勢調査の翌年だった2011年比で168人も多く、人口の社会増に貢献することになりました。

 それと同じことを、15歳・16歳人口についても行なえば、転入者の人口が把握され、社会増の数字が出やすくなります。

 じっさいに表7が示すように2018年には15-16歳で77人19年には104人がこの年齢の社会増の要因となっています。理由は、ここにあったのではないかと思います。

 では、それを、江津市の就学・卒業を理由とする転出入者数の推移の統計に、見てみたいと思います。

 

表8 江津市の就学・卒業を理由とする転出入者数の推移

※原資料:「しまね統計情報DB」各年の「第12表 市町村・移動理由別移動者数」より編集

注)「県外転入」には市町村長が職権により住民票に「記載」した者の数、「県外転出」には住民票から「消除」

 した者の数が含まれていない。

 

 これを見ると、あれっと思います。2016年の就学・卒業は「-31」ではありませんか。

 前年「-58」より社会減は少ないですが、いまだに社会減なので。大きな動向は変わっていません。転入がすこしもふえていない。これは、もしかしたら、注の〈「県外転入」には市町村長が職権により住民票に「記載」した者の数、「県外転出」には住民票から「消除」した者の数が含まれていない〉に関係し、職権記載が行われたのか。

 いっぽう、2018年は、転入者数が顕著にふえているので、15-16歳の高校生への住民登録の推奨が行われたのでしょうか。

 

質問8

 結局、江津市2018年の人口は、ほんとうに社会増(転入超過)になっているのでしょうか

 

 1.なっている

 2.なっていない

 3.わからない

 

正解/解答  これは、どう思いますか。わたしの考察は、つぎに述べます。

 

〇考察 江津市2018年は、ほんとうに社会増になっているのか

 人口動態統計は、5年ごとの国勢調査によって、住民基本台帳をベースとして国勢調査の統計を修正した国勢調査間期の統計の不正確さを、正されることを繰り返しているのではないかと思います。

 質問6からみてきたように、国勢調査の統計で、人口の増減を修正される年齢層は3つあります。①「15-17歳」(または「15-18歳」)、②「18-23歳」(または「19-23歳」)、③「24-35歳」です。

 国勢調査によって、①は「増加」、②は「減少」、③は「増加」の方向に正されるのが、これまででした。

 ところが、18歳選挙権が施行されて、17-18歳人口は、通常の年にも住民として把握されるようになり、しかも、2018年からは、15-16歳人口まで、江津市では住民登録の推奨によって把握されるようになったような形跡が、人口統計からは見られました。

 もしそうだとすると、国勢調査によって、①「15-17歳」(または「15-18歳」)の人口が、増加の方向に大きく正されることは、なくなりそうに思います。また、②「18-23歳」(または「19-23歳」)の人口が、減少の方向に正される程度が、より大幅になる可能性があるでしょう。

 表6-補足()を見ると、②③の年代の平年の人口動態は、これまでと大きく変わっていないと思われます。そのため、国勢調査では、①の増加が小さくなり、②の減少がふえて、人口の社会増減は、マイナスの方向に調整されることが予想されるのではないかと思います。

 このマイナスの方向の調整を、それ以前の平年である4年間に及ぼせば、はたして2018年の「28人」の転入超過は、結果としてプラス(社会増)のままの数値に補整されるだろうか。

 わたしには、おおいに疑問に思えてなりません。

 国勢調査の翌年である2021年には、どういう補整が行われることになるでしょうか。

                          (2020.2.23記す)

 

付記1)

 私は、人口統計のプロなどでは皆目なくて、ただのひとりの市井の者です。さぐりさぐり考えて、こんなふうに思いました。プロなら断言できるところや、素人の誤りもあるかもしれません。そうしたことがありましたら、ご教示いただきたくも思いますし、至らぬこと、不足を申し訳なくも思います。

付記2)

 1月26日から27日にかけて、わたしは、安倍首相の施政方針演説について、違和感を感じて、短文を書いた。その後、江津市のことを折々ネットで調べてみると、ちょっと前に思ったことと違うかもしれないと思い、2月9日に、あらためてそれを文字にしてみた。そうして、それを、とあるところに投稿する寸前に、政治学者・菅原琢氏の「国会議員白書」に、江津市の人口動態についての安倍演説の批判論考が掲載されているのを知った。

 わたしが考え直した方向と同じことが、はるかに明確かつわかりやすく、そこには書かれていた。プロは違うものである。菅原氏は、すでに1月26日深夜~28日、ここまで明らかにしていたんだ、と思った。書いたものを投稿してから、菅原氏の論考を読みなおし、そこで気付いたことも、さらに投稿した(ただし、一部は、最終承認投稿後の考察だあるが)。これは、それらの私の投稿を、まとめなおしたものである。

 菅原琢氏の論考の参照先を再掲します。

*安倍首相演説:島根県江津市が若者の起業を積極的に促した結果、人口の社会増を実現させたというのは本当か(2020年1月27日)

 http://blog.sugawarataku.net/article/187087899.html

*安倍首相演説:島根県江津市の転入が増えたのは若者の起業促進策が成功したからでなく〇〇〇〇のため(2020年1月28日)

 http://blog.sugawarataku.net/article/187091325.html

 私のこの文章よりも、この話の概要を深く知るには、菅原氏の論考を読むほうがいいかもしれません。

 私のこの文章は、菅原氏の論考とは別個に至った私の考えと、菅原氏の論考に触発され、試みて至った考えを述べたものです。なお、この小文には、菅原氏の論考から2つの図をひかせていただきました。

 表2は、私も同様の図を作成して考えましたが、表5は、こうした調査があることも知りませんでした。

 ただし、質問5の説明以降には、小生独自の考察が含まれてるのではないかと思いますそこにこの小文長いけどを書く意味がいくぶんなりともあるかもしれません。

   (2020.2.24未明に記す。最後の2行のみ、2023.1.22加筆)

スタート

※ブログをはじめるにあたって、と、お断り

 ブログをはじめることにしました。

 じつは、わずかですが、わたしだけが気がついたかも、と思われることがあって、それが、安倍元首相に関係することなのです。

 昨年、教団がらみの凶弾に、安倍さんは帰らぬ人となってしまった。

 これらを、発表しないでおいたままでいいのだろうか、と思いました。

 ひとつは、以下に書いたことです。

 もうひとつは、森友学園小学校の異常な値引き問題についてです。

 いずれも、書いたもののをウェブに載せたことが皆無ではありませんが、あらためてとらえなおして、より整理して公表しておきたいなと思いました。

 そのほかにも、日々思うことで、書いていきたいことがあるので、おいおい、すこしずつ、ブログ記事にしていきます。

 それで「お断り」のほうですが、初投稿で、表組の取り入れ方を調べないで投稿したため、表がとても読めないブログ記事になっています。

 それを、改めて、翌日投稿しなおしました。

 

 ここから下は、上記で読んでください。

 よろしくお願いします。

 とりあえず、今日はここまで。(2023。1.26、しるす)

 

nanijiro-i.hatenablog.com

 

※追記

 1月29日に23日の図表修正版とても長文なので要旨を別途書きました

 下記を先に読まれてもいいかと思いますお時間のない方が少なくないでしうから

 概要を先に知りたい方も、こちらをどうぞ。

nanijiro-i.hatenablog.com

***************************************  

 

安倍首相が施政方針演説でふれた「江津市の人口動態」は正しいか

◇統計をみて「8つの質問」で検証していく

 

※以下は、未編集のまま公開してしまったので、上にあげた「図表修正版」で、お読み

 ください。また、要旨を別途投稿していますので、お時間のない方、概要を先に知り

 たい方は、そちらをお読みください。

 

 2020年の施政方針演説で、安倍元首相が、下記のように、施政方針演説で語ったことについて、当時それを検証したものを公開します。

 当時に書いたまま公開しますが、いかに問題が多い発言であるかを説明しています。

 統計をもとに語ったものが、その根拠を問うと、元首相の語ったものとは、まったく真相が異なるという話です。統計をよく見れば、それがわかるのです。

 元首相は昨年亡くなりました。3年前の施政方針演説の話ですが、当時、多忙その他の理由で、まとめたものを公開にはいたらなかったものですが、ここにしるしておきたいと思いました。

 長文ですが、よろしかったら、お読みくださいませ。

 もしかすると、印刷して読んでいただいたほうが、いいかもしれません‥。

                          (2023.1.22記す)

 

 なお、今後、いまさらのように思われるかもしれませんが、ほぼすべての人が知らない、森友学園小学校の値引き問題の考察を、投稿できたらと思っています。(同上)

 

〇「8つの質問」で、首相演説を検証する

 島根県江津市にIターンしてパクチー栽培をしていたHさんについて、安倍首相は施政方針演説(1月20日)でふれて、地域を活性化する政府の施策を紹介しました。そのHさんが、昨年末、市外に転居していたことはニュースになりました。お読みになった方も少なくないでしょう。

https://www.chugokunp.co.jp/news/article/article.phpcomment_id=606203&comment_sub_id=0&category_id=24(中国新聞)

 このときの首相演説で、江津市の人口動態についての言及がありました。https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0120shiseihoushin.html(施政方針演説)

 その内容を検証していきたいと思います。おもに用いるのは、つぎの統計資料です。

https://pref.shimane-toukei.jp/index.php?view=4334(しまね統計情報データベース「推計人口」)

 統計を示しながら、「8つの質問」に答えていけば、検証できます。

 それでは、まず、安倍首相の発言はどうだったかを見ましょう。

 

〇安倍首相の発言の該当部分

 上記のURLの演説中「3 地方創生 (地方創生)」から引用します。

〈東京から鉄道で7時間。島根県江津市は「東京から一番遠いまち」とも呼ばれています。20年以上、転出超過が続き、人口の1割に当たる2800人が減少した町です。
 しかし、若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました。〉

 

〇いつから転入が転出を上回ったのかを調べてみる

 まず、このことを調べてみます。

「しまね統計情報データベース」で、人口動態をみると、1994年10月1日までの1年間、1995年10月1日までの1年間に、転入が転出を上回り、それぞれ「5人」「46人」の転入超過だったとするデータがありました。以降は転出が転入を上回りつづけました(後出の表1)。

 この時点からの人口減少のことをさして言っているのでしょうか。

 そこで、最初の質問です。

 

質問1

 2019年12月末の江津市の人口は、2万3442人です

 1995年10月1日の人口は何人ぐらい?

 1.2万6200人くらい

 2.2万6200人をすこし上回る

 3.2万6200人をかなり上回る

 4.2万6200人をすこし下回る

 2万6200人というのは、2万3400人+2800人というのは、おわかりですね。

 上のどれが正しいでしょうか? 答えを決めていただけましたか?

〇正解

 1995年10月1日の国勢調査人口は、3万0740人。約7300人(7298人)減少しています。

 実態としては、正解は「3」です。「人口の4分の1近く(23.74%)に当たる約7300人が減少しました」。

 でも、「3」と答えた人は、多くなかったのではないでしょうか。

〇推論の正解

「20年以上、転出超過が続き、人口の1割に当たる2800人が減少した町」とあるので、「1」は、与えられた情報からの推論として、正しいと思います。

「2」も、「20年以上」とは書いてあるが、「20年前」と比べているのかもしれないなどと思ったら、そういうこともありうるでしょう。

 与えられた情報から推論すると、むしろ、正解の「3」は考えにくい気がしますが、それが実際でした。

 

質問2

 では、「20年以上、転出超過が続き、人口の1割に当たる2800人が減少した町です。」とは何を意味しているのでしょうか。2800人の減少というのはなにか。推理してみましょう

 

 1.比較期間が、より短い。2009年の民主党政権の成立からの減少幅を示した

 2.江津市2004年10月桜江町を編入したので、旧桜江町域の人口を除いて比較

 3.1995年10月1日からの「転出が転入を上回った」人数を集計した

 4.それ以外の理由で2800人が減少した

 

〇正解

 最もありそうなのは「3」だと思います。違うのは「2」。

 最初に私が考えたのが「1」でした。調べてみると、2009年4月1日の人口が2万6200人だったので、近い。鳩山内閣の成立が同年9月。

 でも、「3」の可能性のほうが、かなり高いと、わたしは思います。

 

〇根拠

 1993年~2018年までの「転入-転出」人数を「しまね統計情報DB」から抽出して合計しました。

 1995年10月1日~2017年10月1日までの「転入-転出」人数を合計すると「2791人」でした。ぴったりですね。

「2800人」減少したというのは、自然増減は入れない「転入」「転出」だけを原因にした、人口の減少数だったのですね。

 

表1 江津市「転入-転出」人口の推移

 

 2018

 2017

 2016

 2015

 2014

 2013

 2012

 2011

 2010

 2009

 2008

 2007

 2006

転入超過

 28

 -61

 -84

 -92

 -83

 -134

 -7

 -88

 -160

 -160

 -261

 -246

 -104

累計

 

 -61

 -145

 -237

 -320

 -454

 -461

 -549

 -709

 -869

-1130

-1376

-1480

 

 2005

 2004

 2003

 2002

 2001

 2000

 1999

 1998

 1997

 1996

 1995

 1994

 1993

転入超過

 -210

 -73

 -112

 -96

 -208

 -59

 -145

 -160

 -88

 -160

 46

 5

 -81

累計

-1690

-1763

-1875

-1971

-2179

-2238

-2383

-2543

-2631

-2791

 

 

 

(「しまね統計情報DB」より。2018年「第18表」、2004年以前は各年の「市町村・男女別人口動態」から)

 

〇どういう表現が、よりよいか

 質問1で、どうお考えでしたか。

「1」「2」と答えた人は、この文を素直に理解して、「2800人」が、20年ほどの期間での江津市の人口減少数だったと理解したのだと思います。なんとなく、だまされてしまいますよね。

「20年以上転出超過が続き人口の1割に当たる2800人が減少した町です」という文は、「20年以上、転出超過が続き、そのことによる町の人口の減少は、その1割に当たる2800人にも上りました」のように、わかりやすく書いてほしいところです。

 あるいは、演説での表現を強いものにしたいから、そう表現したのなら、首相官邸のHPの演説文に注をつけてほしいもの。

 

〇コメント

 地方の人口問題は、自然減を抜きにできないことは、至極当然で、スルーはできません。もし、ここで、「1割減」でなく「2割以上減」と表現されていたら、より問題は深刻に見えてしまうのを、避けたのでしょうか?

 

 ここまで「20年以上、転出超過が続き、人口の1割に当たる2800人が減少した町です」を考えました。

 つぎに「若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました」を見ていきましょう。

 

〇2018年の「転入-転出」人口は、2017年から、どう変化したか

 2018年、江津市の「転入-転出」人口は、表1から「28人」とわかります。17年は、これが「-61人」でした。ということは、「89人」ぶん、転出超過から転入超過に動いたことになります。

「しまね統計情報DB」には、転入と転出の理由を調査した統計が掲載されています。それを見ながら、この首相の言葉を確認していきましょう。

 なお、「しまね統計情報DB」「推計人口」にある諸表間で数字が若干異なっている場合があります。

 つぎの表2では、「転入-転出」人口は、27人(2018年)、-64人(2017年)で、「91人」ぶん、転入超過に動いたことになっています。これからは、この数字を使って見ていきましょう。

 

質問3

 

 江津市で、2018年と17年に「転職・転業」の目的で転入した人、同市から転出した人の統計を見て次の問いに答えてください

 1.「転職・転業」のために江津市に転入した人は、2017年、2018年、各何人で、何人増えましたか?

 2.「転職・転業」のための江津市への転入と転出を合せると、17年から18年にかけて、この理由での「転入-転出」の人数は、何人ぶんが、18年の「91人ぶん」の転入超過への変化に役立っていますか?

 3.「転職・転業」のための江津市の県外からの転入・県外への転出については、17、18年はそれぞれ何人でしたか。その結果、何人ぶんが、18年の「91人ぶん」の転入超過への変化に役立っていますか?

 4.2017年から18年に転入超過になった理由として、ふさわしい理由を、つぎのなかから2つあげてください。

  イ.転職・転業  ロ.就学・卒業  ハ..結婚・離婚等  ニ.退職・家庭の事情

 ※政治学者・菅原琢氏の「国会議員白書」ブログから、表をお借りします。

 

表2 江津市転出入者(日本人)の移動理由

 

出典:菅原琢「国会議員白書」ブログより。原資料は「しまね統計情報DB」、2017、18年「第12表」。

注)「県外転入」には市町村長が職権により住民票に「記載」した者の数、「県外転出」には住民票から「消除」した者の数が含まれていない。

 

 

〇正解

1.「転職・転業」のために江津市に転入した人は「2017年:38人」「2018年:58人」

 で、20人増。たしかに、この年は、転入者がふえていますね。

2.でも、転出者も「2017年:30人」から「2018年:45人」に15人増。「1」の転入

 者と差引で、2018年の「転入超過」への「91人」ぶんの変化に「5人」ぶん貢献。

 ですが、これは「転入超過」になったおもな原因と言えるものなのでしょうか。

3.県外からの転入は「2017年:32人」から「2018年:34人」に「2人」ぶん増えて

 いますが、県外への転出が「2017年:22人」から「2018年:32人」に「10人」ぶん

 増えているます。

  そのため、「転職・転業」を理由とした県外との人口移動が、18年の「転入超過」

 方向に貢献した人数は「-8人」となります。むしろ「マイナス」に動いた。

  このことから、県外との「転職・転業」を理由とした人口移動のために、江津市

 「転入超過」になったとは言えないことが、わかります。

4.2017年から18年に転入超過になった理由として、ふさわしいのは「ロ.就学・卒業」

 「ハ.結婚・離婚等」であることが、表からわかります。

  それぞれ「+94人」「+51人」の変化要因になっています。

 

※付記

 また「転勤」「就職」も、それぞれ2018年は17年比「-8人」「-16人」で、江津市への就業のための人口移動全般をみても、「転勤」「就職」「転職・転業」を合わせて「-6人」から「-25人」とより転出超過になっている。転入も「269人」が「261人」へと、わずかに減っている。

 

 上で見てきたことから、「ロ.就学・卒業」「ハ.結婚・離婚等」が、2018年に江津市の人口が転入超過になった主な原因であることがわかりました。

 安倍首相のいう「転職・転業」が転入超過の主な理由ではなく、県外との「転職・転業」が原因の人口移動は、転入超過数がへりました。

「若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました」という因果関係はなく、「フェイク」といってよさそうです。

 

 それでは、つづいて、2018年に江津市の人口が転入超過になった主な原因である「ロ.就学・卒業」「ハ.結婚・離婚等」のうち、数の大きい「就学・卒業」が、なぜ増加したのかを考えてみます。

 このことについて、政治学者・菅原琢氏は、1月28日にわたしの推理と同じ結論に達しておられます。

 私は、菅原氏とは別に、同じ推理に、のちに達することになりました、この経緯については、この報告の末尾にふれたいと思います。

 

質問4

 江津市で、2018年に「就学・卒業」の目的での転入人口が「38人」から「111人」に大幅に増加したのはなぜか。もっとも考えられるのは、つぎのうち、どれですか

 

 1.市内に新しい学校ができたり、定員が増加したりしたため

 2.市内の寮生や寄宿生がふえたため

 3.その他

 

〇正解/解答

 どうやら「1」ではないようです。「2」か「3」だと思います。

 どちらなのか。「質問7」まで、答えを求めて、考えを進めていきたいと思います。

 

質問5

 もし「市内の寮生や寄宿生が増えた」としたら、考えられる理由はなんですか

 

 1.石見智翠館高校へのスポーツ留学による寮生等が、転入人口となったため

 2.三江線JR西日本)がこの年の春に廃業し、沿線からの通学生が近くに寄宿した

  り寮に入ったため

 3.その他

 

〇正解/解答

 わたしは、はじめ「2」が有力かと思いました。しかし、島根県に「足を踏み入れた」ことは、わたしにはないので、地域の事情はよくわかりません。

 パソコンで検索すると、三江線は通学路線になっていたものの、災害で不通になることも少なからずあって、スクールバス通学がむしろ主流になるなかで、乗客を減らし続けて、廃業となったようです。

 三江線の廃業によっての「寮生」「寄宿生」増加は、多少あるかもしれませんが、主な理由ではなさそうだと、いくつか調べてみて思いました。

 そこで、「1」「3」の可能性を、このあとに考えていきたいと思います。

 

〇「就学・卒業」のために人口が増えるなら、高校生がもっとも考えられる

 小中学校は地元で通うでしょうから、もっとも「就学・卒業」による人口増加に関係しそうなのは、高校生でしょう。

 江津市にある高校は、江津高校、江津工業高校、石見智翠館高校、キリスト教愛真学園。ほかに、島根職業能力開発短期大学校があります。

 石見智翠館高校には、スポーツコースがあり、野球や、ラグビー(男女)などで、全国でも活躍しています。たとえば、野球部は寮生活を基盤にしているようです。

 2019年「夏の甲子園」に出場した野球部について、ある記事(朝日新聞島根版、同年8月6日付と思われる)によれば「部員数121人のうち、島根出身者は約10人」。約110人が県外からの寄宿生ということになる。スポーツコースは、スポーツ推薦50名、一般でスポーツコース30名といった、毎年の定員があるようだ。この約80名を中心に、寮生の多くが、これまで住民票を移していなかったところを、1学年、またはそれ以上の範囲で移すようにすれば、「就学・卒業」による転入人口は、それだけで数十人規模で増加することになる。そういうことは起こらなかっただろうか。

 

菅原琢氏が示した2つのこと(1)2018年に15-19歳(日本人男性)の社会増が激増

 政治学者・菅原琢氏は、2つの図表を示して、論をすすめていっています。

 http://blog.sugawarataku.net/article/187091325.html

 まず「図 島根県江津市の年齢(5歳階級)別転入超過数(日本人男性)」を、菅原氏は示しています。

〈これを見ると、2018年に15-19歳の社会増が激増していることがわかります。それまで大きくマイナスに振れていたものが+40と極端な値を取っています。なお女性では2018年に同様の顕著な変動は見られません〉

 同氏のブログを見ると、グラフで一目瞭然ですが、それをさらにしぼりこんで、高校生年代に焦点を合わせて、「15-17歳人口」がどう増えたかを見ていきましょう。

 

〇高校生世代の「転入超過」が2018年に大きくなったことを、年齢別人口に見る

表3 高校生の人口は、2005-19年にどう推移してきたか

  (「15-17歳人口」と、前年の「14-16歳人口」とを比較して、その増減を見る)

  • 「15-17歳人口」と「14-16歳人口」

総数

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

2006

2005

2004

 

14-16

 703

 676

 637

 704

 668

 653

 661

 692

 744

 756

 756

 779

 843

 898

 928

 978

 

15-17

 779

 713

 716

 839

 672

 683

 689

 765

 825

 788

 805

 865

 931

1036

1012

1095

 

増減

                             

 

総数

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

2006

2005

2004

 

15-17

 103

 76

 12

 171

 19

 22

 -3

 21

 69

 32

 26

 22

 33

 108

 34

 

 

 

 2017年には「637人」であった「14-16歳人口」は、2018年に「713人」になりました。「+76人」です。

 この表から明らかなように、2018年の「転入超過」に、この年の「15-17歳人口」の増加が寄与していると思われます。

 それ以外の「2006」「2011」「2016」年にも、同様かそれ以上に大きく増加していますが、これについては、質問6で、あらためてその理由を考えます。

 つぎに、それを男女別にみてみます。ここでは、問題の「2018年」の近辺の5年間だけを見ます。

 

表4 高校生の人口は、2015-19年に男女別にどう推移してきたか

  (「15-17歳人口」と、前年の「14-16歳人口」とを比較して、その増減を見る)

2019

2018

2017

2016

2015

2014

 

増加

         

14-16

 390

 352

 321

 382

 345

   

2019

2018

2017

2016

2015

2014

15-17

 436

 373

 387

 471

 334

   

15-17

  84

  52

   5

 126

  10

 

 

2019

2018

2017

2016

2015

2014

 

 ●

増加

         

14-16

 313

 324

 316

 322

 323

   

2019

2018

2017

2016

2015

2014

15-17

 343

 340

 329

 368

 338

   

15-17

  19

  24

   7

  45

   9

 

※表3・表4の原資料:「しまね統計情報DB」より、各年の「市町村・年齢(各歳)・男女別人口」から

 

 表4から、2018年に「転入超過」になった大きな理由は、「15-17歳」人口が増えたからであるとわかる。それも、女性の転入人口も増えていますが、それ以上に、とくに男性の転入人口が増えたからではないかと、考えていいでしょう。

 そして、男子高校生が大きく増えているのだから、野球部などのスポーツ留学人口が、なにか関係があるのではないか。こうした想定に、さらにひとつの傍証が与えられたことになります。

 

菅原琢氏が示した2つのこと(2)2018年の江津市10代男性転入者の移動前住所

 菅原氏は、また「表2 江津市10代男性転入者の移動前住所」を示しています。

 

表5 江津市10歳代男性転入者の移動前住所

出典:菅原琢「国会議員白書」ブログより。

 

 

 2018年に、大阪・兵庫からの男性の転入者が増えていることが、人口の社会増の原因だったのですね。この2県からだけで、34人もふえています。

 これについては、翌2019年夏の甲子園に出場した、石見智翠館高校のベンチ入り部員の出身県の分布との類似が見られそうです(新聞記事より)。

 ベンチ入り18人は「大阪府12名」「広島県2名」「兵庫県2名」「神奈川県1名」「島根県1名」だった。

 なおこの総数86名規模感としてスポーツコース80名に近いことにも気づく

 こうしたことから、石見智翠館のスポーツコースの高校生が、何らかの理由で、これまで住民登録をしてこなかったのが、するようになったから、「就学・卒業」による転入人口増となったと考えられそうです。

 では、それはなぜなのか。統計から見えることはないかと考えました。

 ひきつづき、15-17歳人口の動向をみていくことにしましょう。

 

江津市の人口動態統計を読むときに注意したいこと

 ──5年毎にみられる「転入増」と「転出増」

 考えを進めていきますが、初めに、江津市の人口動態統計を読むときに考慮しておきたいことが、ひとつあると思ったので、そのことを述べます。

 

質問6

 表3を見ると、2006、11、16年と、5年毎に「15-17歳人口」の増え方が多くなっていますその理由として、どんなことが考えられるでしょうか

(表3のうち、増減の表を再掲します)。

 1.5年ごとに高校野球の記念大会があるから

 2.5年ごとに国勢調査があるから

 3.その他

 

表3 高校生の人口は、2005-19年にどう推移してきたか

  (「15-17歳人口」と、前年の「14-16歳人口」とを比較して、その増減を見る)

増減

                             

 

総数

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

2006

2005

2004

 

15-17

 103

 76   12

171

 19

 22

 -3

 21

 69

 32

 26

 22

 33

 108

 34

 

 

 

〇正解/解答

 これは、これらの年が、国勢調査の翌年だからだとしか考えられないと、思います。

 国勢調査によって、これらの年に、江津市への高校生の転入が把握されたため、この年齢の人口が例年になく増加したという統計になったのでしょう。

 

国勢調査で「転出増」になる年齢層もある

 いま「15-17歳人口」が、国勢調査の翌年に、他の年よりも目立って多く増加することを見ました。

 そのほかに、国勢調査の翌年に、他の年よりも大きな、社会増減を見せる年齢層が、2つあります。

 「15-17歳人口」は、高校生世代ということで、3歳の刻みで見ましたが、この2つは、それぞれ6歳と12歳の刻みでみることにします。

 2016年の「18歳」だけ特殊事情がありますが、それは後述します。

 

表5 江津市の「18-23歳人口」と「24-35歳人口」の増減を見る

 

 

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

2006

2005

2004

18-23

1210

1184

1043

 895

1092

1067

1006

 952

 899

1298

1311

1251

1228

1185

1546

1487

24-35

1899

2005

2127

2228

1988

2154

2360

2551

2632

2373

2527

2746

2929

3099

2965

3110

                                                               

●増減

 

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

2006

2005

2004

18-23

 -96

 -59

 -86

-299

-123

 -95

-125

-108

-503

-160

-163

-190

-189

-555

-183

 

24-35

  11

  27

   7

 317

 -12

 -22

 -26

 54

 414

 -11

 -27 

 -65

 -70

 215

 -24

 

※表5の原資料:「しまね統計情報DB」より、各年の「市町村・年齢(各歳)・男女別人口」から

 

 上の表は、各年の「18-23歳人口」と「24-35歳人口」を示したものです。

 下の表は、それらを、前年の「17-22歳人口」と「23-34歳人口」とくらべて増減を示したものです。

 (なお、ここでは、前年の「17-22歳人口」と「23-34歳人口」は、記しません)。

 これらから、国勢調査の翌年には、つぎのような特殊事情が生じてると思われます。

 1.高校生世代(15-17歳)の転入が把握され、他の年よりも転入増幅がふえる(表3)

 2.高等教育卒業者の市外への転出が、18-23歳人口で把握され、他の年より転出増

  幅がふえる(表5)

 3.市外に転出した若者のなかから、市内に戻る者があり、24-35歳人口でのそれが

  把握されるため、他の年よりも転入増幅がふえる(表5)

 ここで注目したいのが、18-23歳人口が、同学年比較で2006年555人減、11年503人減だったものが、16年は299人減にとどまっていることです。

 ただし、これを「19-23歳人口」でみると、つぎのようになります。

 たしかに減り幅が小さくなりましたが、その理由の一部は、2016年に18歳の転入人口が増加したことにあるようです。

 

表5-補足(1) 江津市の「19-23歳人口」の増減(2006、11、16年)

総数

2016

2011

2006

19-23

-362

-500

-542


 

 つぎに、これらの3つの年齢層を合わせた、2006、11、16年の「転入-転出人口」の増減をみてみます。

 

表5-補足(2) 江津市の「15-35歳人口」の増減

総数

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

2006

2005

15-17

 103

 76

 12

 171

 19

 22

 -3

 21

 69

 32

 26

 22

 33

 108

 34

18-23

 -96

 -59

 -86

-299

-123

 -95

-125

-108

-503

-160

-163

-190

-189

-555

-183

24-35

 11

 27

 7

 317

 -12

 -22 

 -26

 54

 414

 -11

 -27

 -65

 -70

 215

 -24

15-35

 18

 44

 -67 

 189

-116

 -95

-154

 -33

 -20

-139

-164

-233

-226

-232

-173

 

 2016年、2018年、2019年の、この年齢層の人口の社会増が、ありそうに見えます。

 そのうち、2016年のこの年齢層の人口動態を、よりとらえやすくするために、この年齢区分を、補足(1)のように「15-18歳」「19-23歳」に変えてみます。

 

表5-補足(3) 江津市の「15-18歳人口」「19-23歳人口」の増減(2006、11、16年)

総数

2016

2011

2006

15ー18  234

 66

 95

19-23

-362

-500

-542

24-35

 317

 414

 215

15-35

 189

 -20

-232

 

 これをみると、2016年の「15-35歳」転入出人口増加の最大の原因は、15-18歳人口の増加にあることが、わかりますね。

 ではつづいてこの「15-18歳」転入出人口の動向を各年齢別にみてみましょう。

 

表6 江津市の「15-18歳」人口の増減を、各年齢別にみる

 

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

2006

2005

2004

15

 232

 227

 215

 220

 214

 229

 206

 237

 242

 247

 261

 250

 271

 306

 291

 325

16

 287

 261

 226

 275

 238

 218

 235

 250

 278

 283

 259

 283

 330

 329

 352

 374

17

 260

 225

 275

 344

 220

 236

 248

 278

 305

 258

 285

 332

 330

 401

 369

 396

18

 200

 251

 321

 283

 200

 214

 237

 269

 255

 240

 283

 277

 332

 356

 333

 344

                                                                 
  • 増減(前年の「14-17歳人口」(同じ学年)と比べた)

 

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

2006

2005

2004

15

 44

 31

 6

 4

 8

 9

 1

 13

 16

 11

 15

 8

 8

 21

 12

 

16

 60

 46

 6

 61

 9

 12

 -2

 8

 31

 22

 9

 12

 24

 38

 27

 

17

 -1

 -1

 0

 106

 2

 1

 -2

 0

 22

 -1

 2 

 2 

 1

 49

- 5

 

18

 -25

 -24

 -23

 63

 -36

 -34

 -41

 -36

 -3

 -45 

 -49

 -53

 -69 

 -13

  -63

 

※表6の原資料:「しまね統計情報DB」「市町村・年齢(各歳)・男女別人口」。14歳人口は省略した

 

〇なぜ、2016年に、17歳・18歳人口(転入者)がふえたのか

 これを見るとわかるように、2016年には、16歳人口の増加幅も大きいですが、17歳、18歳人口の増加が目立ちます、なぜなのでしょうか。

 

質問7

 2016年に、17歳・18歳人口(転入者)が増加した理由は何かを、推理してください

 

 1.2012-15年に、転入の住民登録をしなかった人が、これまでになく多かったから

 2.石見智翠館へのスポーツ留学者が、この年には特に多かったから

 3.アベノミクスの成果で、高校生世代の移住者がふえたから

 4.18歳選挙権が、2016年からはじまったから

 

〇正解/解答

 最大の要因は「4」だと、私は思います。

18歳選挙権を実現する改正公職選挙法は、2015年6月19日に公布され、16年6月19日に施行され、同年6月22日から適用されることとなった」。このことと、この年齢層の2016年の人口増とは、たしかに関係がありそうですね。参議院選挙は7月10日。

 

〇2018年に「就学・卒業」によって人口(転入者)がふえたのは、なぜか

 2017年には、転入・転出人口の動向は、例年と変わりのないものだったことが、表からわかります。

 その翌年になると、大きく変わりだします。

 あえて、そのきっかけになったかもしれないとわたしが想像する新聞記事を紹介します。これは、菅原琢氏の「国会議員白書」でも取り上げられているのをあらためて読んでみて、そう思うようになりました。

 

江津市:社会増モデルに 創業・移住促進、内閣府が評価 11日講演/島根-毎日新聞

 https://mainichi.jp/articles/20170906/ddl/k32/010/416000c

 

 これが、2017年9月6日の記事で、つぎの参考資料と関連がありそうです(菅原氏の論考で言及されていたもの)。

 

*資料 移住・定住施策の好事例集(第1弾) 2017年12月 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/wakuwaku_kaigi/h30-02-14-sankou.pdf

 

 これらでは、2017年に2012年比で江津市の人口が社会増となり、社会増のモデルたるべき好事例となった、とされています。

 この時期に社会増のモデルとなったからには、それを実現したいと考えられた。そう、私は想像します。

 2016年に18歳選挙権のスタートを契機に17-18歳人口が転入者として同じ国勢調査の翌年だった2011年比で168人も多く、人口の社会増に貢献することになりました。

 それと同じことを、15歳・16歳人口についても行なえば、転入者の人口が把握され、社会増の数字が出やすくなります。

 じっさいに表6が示すように2018年には15-16歳で77人19年には104人がこの年齢の社会増の要因となっています。理由は、ここにあったのではないかと思います。

 では、それを、江津市の就学・卒業を理由とする転出入者数の推移の統計に、見てみたいと思います。

 

表7 江津市の就学・卒業を理由とする転出入者数の推移

 

 

 転入-
 転出

 転 入

 転 出

 計

 県外

 県内

 計

 県外

 県内

 2018年

  42

 111

 92

 19

 69

 53

 16

 2017年

 ▲ 52

 35

 24

 11

 87

 70

 17

 2016年

 ▲ 31

 35

 28

 7

 66

 54

 12

 2015年

 ▲ 58

 34

 25

 9

 92

 84

 8

 2014年

 ▲ 43

 39

 34

 5

 82

 69

 13

 2013年

 ▲ 87

 30

 30

 0

 117

 108

 9

2012年

 ▲ 38

 53

 46

 7

 91

 77

 14

2011年

 18

 52

 40

 12

 34

 24

 10

※原資料:「しまね統計情報DB」各年の「第12表 市町村・移動理由別移動者数」より編集

注)「県外転入」には市町村長が職権により住民票に「記載」した者の数、「県外転出」には住民票から「消除」

 した者の数が含まれていない。

 

 これを見ると、あれっと思います。2016年の就学・卒業は「-31」ではありませんか。

 前年「-58」より社会減は少ないですが、いまだに社会減なので。大きな動向は変わっていません。転入がすこしもふえていない。これは、もしかしたら、注の〈「県外転入」には市町村長が職権により住民票に「記載」した者の数、「県外転出」には住民票から「消除」した者の数が含まれていない〉に関係し、職権記載が行われたのか。

 いっぽう、2018年は、転入者数が顕著にふえているので、15-16歳の高校生への住民登録の推奨が行われたのでしょうか。

 

質問8

 結局、江津市の2018年の人口は、ほんとうに社会増(転入超過)になっているのでしょうか

 

 1.なっている

 2.なっていない

 3.わからない

 

正解/解答  これは、どう思いますか。わたしの考察は、つぎに述べます。

 

〇考察 江津市の2018年は、ほんとうに社会増になっているのか

 人口動態統計は、5年ごとの国勢調査によって、住民基本台帳をベースとして国勢調査の統計を修正した国勢調査間期の統計の不正確さを、正されることを繰り返しているのではないかと思います。

 質問6からみてきたように、国勢調査の統計で、人口の増減を修正される年齢層は3つあります。①「15-17歳」(または「15-18歳」)、②「18-23歳」(または「19-23歳」)、③「24-35歳」です。

 国勢調査によって、①は「増加」、②は「減少」、③は「増加」の方向に正されるのが、これまででした。

 ところが、18歳選挙権が施行されて、17-18歳人口は、通常の年にも住民として把握されるようになり、しかも、2018年からは、15-16歳人口まで、江津市では住民登録の推奨によって把握されるようになったような形跡が、人口統計からは見られました。

 もしそうだとすると、国勢調査によって、①「15-17歳」(または「15-18歳」)の人口が、増加の方向に大きく正されることは、なくなりそうに思います。また、②「18-23歳」(または「19-23歳」)の人口が、減少の方向に正される程度が、より大幅になる可能性があるでしょう。

 表5-補足(2)を見ると、②③の年代の平年の人口動態は、これまでと大きく変わっていないと思われます。そのため、国勢調査では、①の増加が小さくなり、②の減少がふえて、人口の社会増減は、マイナスの方向に調整されることが予想されるのではないかと思います。

 このマイナスの方向の調整を、それ以前の平年である4年間に及ぼせば、はたして2018年の「28人」の転入超過は、結果としてプラス(社会増)のままの数値に補整されるだろうか。

 わたしには、おおいに疑問に思えてなりません。

 国勢調査の翌年である2021年には、どういう補整が行われることになるでしょうか。

                          (2020.2.23記す)

 

付記1)

 私は、人口統計のプロなどでは皆目なくて、ただのひとりの市井の者です。さぐりさぐり考えて、こんなふうに思いました。プロなら断言できるところや、素人の誤りもあるかもしれません。そうしたことがありましたら、ご教示いただきたくも思いますし、至らぬこと、不足を申し訳なくも思います。

付記2)

 1月26日から27日にかけて、わたしは、安倍首相の施政方針演説について、違和感を感じて、短文を書いた。その後、江津市のことを折々ネットで調べてみると、ちょっと前に思ったことと違うかもしれないと思い、2月9日に、あらためてそれを文字にしてみた。そうして、それを、とあるところに投稿する寸前に、政治学者・菅原琢氏の「国会議員白書」に、江津市の人口動態についての安倍演説の批判論考が掲載されているのを知った。

 わたしが考え直した方向と同じことが、はるかに明確かつわかりやすく、そこには書かれていた。プロは違うものである。菅原氏は、すでに1月26日深夜~28日、ここまで明らかにしていたんだ、と思った。書いたものを投稿してから、菅原氏の論考を読みなおし、そこで気付いたことも、さらに投稿した(ただし、一部は、最終承認投稿後の考察だあるが)。これは、それらの私の投稿を、まとめなおしたものである。

 菅原琢氏の論考の参照先を再掲します。

*安倍首相演説:島根県江津市が若者の起業を積極的に促した結果、人口の社会増を実現させたというのは本当か(2020年1月27日)

 http://blog.sugawarataku.net/article/187087899.html

*安倍首相演説:島根県江津市の転入が増えたのは若者の起業促進策が成功したからでなく〇〇〇〇のため(2020年1月28日)

 http://blog.sugawarataku.net/article/187091325.html

 私のこの文章よりも、この話の概要を深く知るには、菅原氏の論考を読むほうがいいかもしれません。

 私のこの文章は、菅原氏の論考とは別個に至った私の考えと、菅原氏の論考に触発され、試みて至った考えを述べたものです。なお、この小文には、菅原氏の論考から2つの図をひかせていただきました。

 表2は、私も同様の図を作成して考えましたが、表5は、こうした調査があることも知りませんでした。

 ただし、質問5の説明以降には、小生独自の考察が含まれてるのではないかと思いますそこにこの小文(長いけど)を書く意味がいくぶんなりともあるかもしれません

   (2020.2.24未明に記す。最後の2行のみ、2023.1.22加筆)